国の耐震化支援は「補助金・税制・融資」の3本柱
旧耐震基準の建物を耐震化する際、費用負担を軽くするための国の支援は大きく3つあります。①工事費の一部を直接補助する「補助金」、②税負担を軽くする「税制優遇」、③低利で借りられる「融資」です。以下、令和8年度(2026年度)の国土交通省の支援策をもとに、代表的な制度を整理します。
① 補助金 ─ 住宅・建築物安全ストック形成事業
耐震診断・補強設計・耐震改修に対する、国の基幹的な補助制度です。国と地方公共団体が連携して交付します。主な交付率(国と地方をあわせた割合)は次のとおりです。
住宅の場合
- 耐震診断(民間実施):国と地方で 2/3
- 耐震改修・建替え(マンション):国と地方で 1/3
- 耐震改修・建替え(その他):国と地方で 23%
- パッケージ支援(補強設計+耐震改修・建替え):定額交付(密集市街地等175万円/多雪区域140万円/その他115万円)
建築物の場合
- 避難所等の防災拠点(民間建築物):国と地方で 2/3
- 多数の者が利用する建築物(1,000㎡以上の百貨店等・民間):国と地方で 23%
② 義務付け対象への重点支援 ─ 建築物耐震対策緊急促進事業
改正耐震改修促進法で耐震診断が義務付けられている建築物には、令和12年度末までの重点的・緊急的な支援が用意されています(令和8年度予算案:国費105億円)。
- 要緊急安全確認大規模建築物(ホテル・旅館、デパート等):補強設計1/2、耐震改修1/3
- 要安全確認計画記載建築物(避難路沿道建築物、防災拠点建築物):耐震診断1/2、補強設計1/2、耐震改修2/5
- 緊急輸送道路沿道建築物等:耐震診断・補強設計・耐震改修ともに1/3
③ 税制優遇 ─ 所得税・固定資産税
補助金とあわせて、税負担を軽くする制度も活用できます。
- 所得税の控除(令和10年12月まで):耐震改修工事に係る標準的な工事費用相当額の10%等を所得税から控除。
- 固定資産税の減額(令和13年3月まで):耐震改修した住宅は120㎡相当部分までの固定資産税を1年間1/2に減額(特に重要な避難路沿道にある耐震診断義務付け対象の住宅は2年間1/2減額)。
④ 融資 ─ 住宅金融支援機構
自己資金が不足する場合は、低利の融資制度も利用できます。
- 個人向けリフォーム融資:融資限度額1,500万円(住宅部分の工事費が上限)。
- 高齢者向け融資:限度額1,000万円。70歳以上の申込で無利子化され、返済を利用者の死亡時に物件売却等で行う方式(【リ・バース60】等)もあります。
実際の補助は、多くの場合お住まいの地方公共団体(自治体)を通して申請・交付されます。補助率・上限額・対象建築物・受付期間は自治体や年度によって異なるため、まずは建物がある自治体の最新制度を確認することが欠かせません。
申請は「制度の見極め」と「書類づくり」がカギ
補助制度は種類が多く、対象・要件・締切・併用の可否が複雑にからみ合います。「制度はあるのに、自分の建物に何が使えるか分からない」というケースは少なくありません。当協会は、建物に使える制度の調査から要件確認、申請書類の作成支援までをワンストップでサポートし、補助金を最大限活用した耐震化をお手伝いします。